クラヴィシンバルム製作開始

中世・ルネサンス音楽ファンの皆様、大変お待たせしました!今年(2024年)から「クラヴィシンバルム」を正式に工房のカタログモデルとしてラインナップ、製作を開始いたします。

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シンバルム?ってなに?、、という方のために、ちょっと解説しますと、、。

西洋楽器に関する最古の文献の一つで、資料的価値も非常に重要な古文書が、1440年頃にズヴォレのアンリ・アルノーという人物が著した、ラテン語解説付きの楽器図面として残されています。

この中に登場する鍵盤楽器の一つが「クラヴィシンバルム」というチェンバロによく似た弦楽器なんですが、我々の知るチェンバロの様式とはビミョーに違う、、と言うこともあって、以前は実在しなかった、アルノーの創作した架空の楽器だろうと云われていました。

その後研究が進み、古い教会の壁画にこの楽器を天使が演奏している図像も幾つか発見されて、やはり実在していた楽器に違いないという事になりました。

近年は中世音楽の奏楽には欠かせない楽器として、多くの中世アンサンブルに愛用されています。

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久保田工房とシンバルムの、なれそめのお話はこちら→「中世へのいざない」

以下、西山まりえ氏による、二台のクラヴィシンバルム(撥弦アクションのものと、打弦アクションのもの)の演奏映像です。


なお、今回製作開始するモデルは撥弦アクション( チェンバロ・タイプ) のみで、打弦アクション( ピアノ・タイプ) は、受注しておりません。ご了承下さい。

ロドリゴ・ベリオさん


2024年第35回山梨国際古楽コンクール チェンバロ部門の最高位入賞者ロドリゴ・ベリオさん( 画面中央のメガネの男性) が、久保田工房にお越し下さいました。
ロドリゴさんは現在19才のスペイン人で、8才からチェンバロに親しんでいる学生です。
コンクール本選では、彼のお気に入りの楽器「金色咲(コンジキザキ)チェンバロ」(画面左後ろ)と共に、入賞の喜びを分かち合いました。
来年の今頃、彼のリサイタルが実現するように、準備する予定です。どうぞお楽しみに!

第35回山梨古楽コンクール、終了!

第35回山梨古楽コンクール( 2024年4月甲府市内開催) に於いて、久保田工房製作の金色咲チェンバロが、最高位入賞者ロドリゴ・ベリオさんの使用楽器として指名選定されて、喜びを共に分かち合いました。
ベリオさんは19才の親日スペイン人チェンバリストで、近日中に久保田工房を訪問予定です。
また、その様子をご報告しますので、お楽しみに!


コンクールにて使用された楽器たち。左端が金色咲チェンバロ。

BASICルッカースが◯◯様式に!? – 「ある古楽人の密かな楽しみ」掲載


「先日、都内の個人宅にBASIC一段チェンバロを納品に伺いました。(中略)そして翌日、驚愕の画像が届きました!これは?!・・間違いなく昨日納品したチェンバロに違いありません。全く装飾の無い、シンプルなBASICルッカース一段チェンバロが、一夜にして…」
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即納可能楽器のご案内

2024年より、通常オーダー品と並行して、即納可能なチェンバロの現況をご案内いたします。
基本的に久保田工房製BASICシリーズ3種(ルッカース一段、スピネット、ルッカース二段)の装飾なしモデル、中古品、展示品、他社製品の修理、調整完了品等を取り扱います。諸事情により価格帯を公示できないものもございますので、詳細はお問合せください。原則として一点限りですので、ご希望がございましたら早めにご連絡ください。表示価格以外に運搬設置費用が別途必要(ご自身で運搬設置の場合を除く)です。 →お問合せフォーム

新作チェンバロ二台完成のお知らせ

工房代表久保田彰が70歳を迎える節目の年に、現在工房の持つ技術と感性を全て注ぎ込んだ、二台の代表作ともいえる楽器が完成しました。

金色咲チェンバロ (コンジキザキ・チェンバロ) 2023年久保田工房製作 個人蔵

久保田工房としては異例の製作期間4年余りを費やした、フレミッシュ・スタイルの延長上に独自の設計を加えた、現代日本のチェンバロ・デザインによる一台。
音域FF〜f3 ピッチ392⇄415⇄440hz 三段階シフト 
大屋根内側の装飾は、八ヶ岳カラマツチェンバロと同じパリのアトリエ・イゲ製作のバラのテーマによるフランス式金箔装飾パネル

灘高校 44回生記念チェンバロ 2023年久保田工房製作 神戸市灘高校所蔵

17世紀フレミッシュ・スタイルの伝統的工法を踏襲した二段鍵盤ルッカースモデル
音域GG〜e3 ピッチ415⇄440hz
大屋根装飾は、工房専属装飾画家による古典技法油彩風景画 
フラップ部 ラテン語 「44回生寄付により2023年に製作された」

工房の状況および納期についてご案内

平素はお引き立てありがとうございます。

久保田チェンバロ工房は、たいへんありがたいことに、皆様からのお問い合わせを多数いただき、ご注文をコンスタントに承る日々がつづいております。

このたび(2023年7月1日現在)通常は半年〜12ヶ月とアナウンスいたしております、チェンバロの納期が、バックオーダー多数のため、12カ月オーバーとなっております。

たいへん心苦しい次第ですが、ご注文いただいた皆様のご愛顧に感謝をしつつ、購入ご検討されている皆様におかれましては、ご了承のほどお願い申し上げます。

久保田チェンバロ工房 代表 久保田 彰

チェンバロ大事典 2022年11月春秋社より刊行

日本チェンバロ協会メンバー(※) による記念碑的書籍が、この秋に発売されました。

「チェンバロ大事典」は、現況で知る限りのチェンバロ、クラヴィコード、フォルテピアノに関する最新の情報を網羅し、初心者にも分かりやすい文体、内容で著された、日本の古楽世界における歴史的な名著でしょう。

久保田彰も当時のチェンバロ製作者に関する情報の一部を執筆、協力しております。

チェンバロ関係者のみならず、広く音楽に関わる全ての方々に必ずお役に立つ、名書籍であると確信します。是非とも皆様の書棚にお備え頂く事をお勧め申し上げます。

(※)内容の一部は日本チェンバロ協会正会員以外の識者による執筆部分も含まれます。また大事典刊行における、まとめ役を取り仕切って頂きました、前チェンバロ協会会長の久保田慶一先生には、この場を借りて深く感謝申し上げます。

なおチェンバロ大事典の購入は、版元の春秋社のサイト他で取り扱っておりますので、直接お申し込み下さい。久保田工房ではお取り扱いはございませんので、ご了承ください。

チェンバロ大事典 – 春秋社 ―考える愉しさを、いつまでも

スタジオに中世楽器コーナー誕生

左から打弦クラヴィシンバルム、プサルテリウム(上)ドゥルチェメロス(下)クラヴィチテリウム 鍵盤楽器は中世末期13〜14世紀に現在の形に成立したと考えられていますが、まだ研究は半ばです。これらの楽器が中世音楽愛好者のイメージ具現化に、役に立てば幸いです。